第76話

次にやるべき事は決まってるけど、お店の方はやっぱり簡単には見つからないや。


先輩達は何処まで進んだんだろう…。




「あー、だる。あの女、させてくんねーかな」



ノンちゃんとの言い合いに飽きたのか、大和が首にぶら下げたヘッドホンを外し、ボソっと呟く。



綺麗に紐を纏めてテーブルの端に置かれたそれは、食事を置く場所には似つかわしくなく、ポツンと1つだけ異端なオーラを放ってる。




「誰?」


「学食のウエイトレスの女居んじゃん。タレ目でロリっぽい。あれ」


「えー。くれんだろ」




大和の向かいに座ってる男子がテーブルに肘を付き、バカにするようにゲラゲラと笑う。



でも、ちょっと興味津々な顔だ。


もっと詳しく聞かせろって感じ。



周りのテーブル席に座った女子生徒が嫌そうな顔をして見てる。





「あー?余裕じゃね?俺の周りのヤツら、あの女のお陰でほとんど兄弟だしな」


「マジ?」


「マージ。確か名前は茉依まいだっけ?」


「噂をすれば……」




話す大和たちの視線の先を追ってみれば、そこに居たのは、お兄ちゃんの元カノのウェイトレスさんだ。



お冷を乗せたトレイを持って、せかせかと歩いてる。

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