第73話

学園のカフェテリアは今日も華やかで明るく、入った瞬間に街中の小洒落こじゃれたレストランを彷彿ほうふつさせる。



料理も美味しいし、訪れている生徒も多い。


メイド服を着たウェイトレスさんが厨房とホールの間を忙しなく行ったり来たりしてる。




「あの辺でいいんじゃないか?」


「そうだね。あそこにしよ~」


「うん」




手を引っ張るノンちゃんとサクラに連れられ、日の光が降り注ぐ庭園側のテーブル席に座る。



すると、大和やまとたちが隣にやって来て、茶色いソファの上にドカッと腰を下ろした。


“ギャハハハッ”とバカでかい声で騒ぎながら。




「あんだコラ。ナメんじゃねーぞ。テメェら」


「黙れ、童貞」


「調子乗んなや、童貞」


「うるせぇ!ほっとけ!!」




およそカフェテリアでするべきじゃない会話を大声で話す大和とクラスの男子達。


思わずチラっと視線を送ると、大和は敷かれた白いクロスと交わるようにテーブルに突っ伏し、すがるような目付きで私達を見た。



ドレッド頭をクシャッと掴みながら「はぁー。最悪」と溜息を吐いて。

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