第63話

「機嫌直してくれます?」


「お前の頭ん中が昴のことでいっぱいなうちは直さねぇ」


「先輩のことだって考えてますよ」


「本当に考えてんだろうな」


「考えてますって」


「んじゃ、昴のところに行きたくなったら先に俺のところに来るって約束しろ」


「……先輩のところに?」


「ぜってぇな。寄らずに行ったら許さねぇ」





ぎゅっと抱き締められ、されるがままに先輩の肩に顔を埋める。



包み込むのは、いつもの甘い香水の香りじゃなく石鹸とかシャンプーの匂いだ。


煙草の匂いもしない。


そのままの先輩。



それでも抱き締められている事に安心を感じてる。


最初は違和感があったのに今は全く無い。


当然のように受け入れてしまってる。

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