第40話

「別に隠さなくたっていいのに」


「ビビられたくねぇんだよ」


「今更それくらいでビビリませんよ。お兄ちゃんが血だらけにした服だって私が洗ってたんですから」




隠れてコッソリ。


帰って来たお兄ちゃんの特攻服や服を寝てる間に回収して。



お母さんに見つかると凄まじい喧嘩が始まるから私がしてた。


お兄ちゃんすら知らないかも知れない。




「お前、そんな事までしてやってたの?」


「まぁ…。お母さんに見つかると煩かったんで」


「だからって、いったいどんだけ身の回りの世話してやってたんだよ」


「別にそんなの…。先輩にだってしてあげますよ」


「は?」


「だって彼氏なんでしょう?お願いされたら何でもしてあげたいと思うじゃないですか」




服の裾を摘みながら言うと先輩は面食らった顔をした。


そんな台詞、私から出てくるとは思ってなかったみたいに。

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