第39話

「お前も撫でてやろっか?」


「さっき、いっぱい撫でたじゃないですか」


「つれねぇな。来りゃいいのに」




先輩の膝の上に居たエミちゃんが満足したのか自分のベッドに戻っていく。



リビングの明るい照明の下。


振り向いた先輩の特攻服に視線を向けると、袖口におびただしい量の血が付いてた。



そう言えばスッカリ頭から抜け落ちてたけど、先輩はあの後ダイヤのメンバーともう一戦して来たんだっけ。


口を封じたって言ってたし。


だけど、あのD君やヴァレが簡単に黙るとは思えない…と、袖を見ながら考えてたら、パッと手を引っ込め、背中に隠された。




「先輩…。あの人、殺……」


「してねぇよ」


「本当に?」


「軽く口止めしただけ」




手を背後に隠し続けたまま、先輩が表情固く言う。


軽く口止め…。


どうやって?とは聞かない方がいいんだろうな…。やっぱり。

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