第38話
何だか凄く楽しそうだ。
先輩に取ってもお兄ちゃんとの思い出は特別なんだなって実感出来てちょっと嬉しい。
「先輩の事が好きなんですね」
「当たり前だ。散々、手ぇ掛けてやっと懐いたんだからな」
「やっと…って最初は違ったんですか?」
「違ったぞ。噛むわ吠えるわ大変だった。元の飼い主の婆さんにも懐かなかったし」
「お婆ちゃん?」
「もう居ねぇけど」
ピョコっと膝の上に乗っかった犬を撫でながら先輩は懐かしむように目を細める。
過去の記憶を思い出してるんだろうか。
表情穏やかに話す先輩は今まで見てきた先輩の顔とは少し違う。
何も着飾ってない、素のままの先輩を見てる気分。
「俺じゃなきゃダメってのがな。いい。他に代わりは居ねぇってのが」
ポツリと零した言葉が全てだと思った。
先輩がこのワンちゃんを溺愛してる理由の全て。
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