第35話

「着替えは?」


「大丈夫です。お店に行く前に着てきた服が鞄に入ってるんで」


「そうか。んじゃ、リビングに居るわ」


「分かりました」




先輩にペコと頭を下げ、洗面所のドアを閉める。


そこからお風呂に入り、半袖のパーカーに着替え、ドライヤーで髪を乾かし、リビングに向かう。



家の中で1番広いであろう部屋。


ドアを開けると、だだ広いフローリングと壁一面のガラス窓が見えた。



部屋の中には長ソファとテーブル、テレビとキャビネットが置いてあり、他の部屋と同様、物が少なく生活感はあまりない。




「……先輩?」



呼び掛けつつ、中に入って部屋を見回すと、部屋の隅に置かれたふわふわの犬用のベッドの前で先輩が犬を撫で回してた。




耳がピョコンと立った小型犬のパピヨン。


茶色と白の長めの毛とまん丸な目をしてる。



しっかり手入れして貰ってるんだろうな、と見て分かるくらい毛並みが艶々。


先輩にお腹を見せてコロコロと転がり全力でデレてる。

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