第21話

「それより先輩、阿部さんに私と付き合ってるって言ったでしょう」



2人だけになったエントランス。


離れた場所に立ってたコンシェルジュに頭を下げ、エレベーターの方に移動しながら先輩に聞く。


そこら辺ハッキリと確証を得たい気持ちがあって。




「あー、まぁ、あいつはそういう絶対的な話は口が裂けても言わねぇし」


「だからって嘘を吐いて良かったんですか?」


「……嘘?何が?実際お前は俺の女だろ」


「はい?」


「貰う、って言ったじゃねーか」




首を傾げた私に先輩は訝しげな顔で言い返してくる。


“何言ってんだ、こいつ”と本気で思ってそうな顔だ。


冗談じゃないっぽい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る