第20話

「店の方は大丈夫でした?」


「問題ねぇよ。元締めも笑ってたし、あいつらの口も封じたし」


「そうッスか。なら心配ないっスね」


「あぁ」


「じゃ、俺は帰ります。役目も終えたんで」




阿部さんはそう言うと、ささっとゴミを片付け、先輩にペコっと頭を下げた。


そして「じゃあな!メルファ」と私に手を振りながら去っていく。




「メルファ……?」


「な、何でも無いですよ!気にしないで下さい」



メルファ呼びに疑問を持った先輩に慌てて誤魔化しを入れる。



阿部さんめ。


バレたら魔法の力が消されるって言ったのに、これじゃ先輩にバレバレじゃない。



もう。

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