第19話
先輩ったら意地悪な…。と思いつつ、行く末を見守る。
「いや、これは、あの、ホント違うんス!!違うんスって!」
「何が違う?」
「だから、何と言うか…、あれっスよ、あれ!その、出来心と言うか…、すいませんっ!!」
「冗談だ」
焦ってる阿部さんに“ふっ”と小さく笑みを零すと、先輩は手に持っていたコンビニの袋を差し出した。
中身はお菓子。
大きい袋いっぱいにギューギューに詰められたお菓子の山。
手当たり次第にカゴに放り込んだでしょう?と聞きたくなる量。
この世の終わりみたいな顔をしてた阿部さんの表情がみるみる喜びに輝く。
「いいんスか!?」
「あぁ」
「ありがとうございます!」
「いや、こっちこそ。世話掛けたな」
「そんな滅相もないっス」
「ほんと助かったわ。サンキュー」
ポンッと背中を叩いた先輩に顔を綻ばせ、阿部さんはコンビニの袋を大事そうに両手で抱える。
まるで玩具を買って貰った子供みたいだ。
本当に素直。
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