第18話

心の中に大ショックが訪れる。



やばい。見られた……。


絶対に見られちゃイケないものを見られた。


どうしよう…。


パンツ一丁でムダ毛処理をしているのを見られたような気分だ。



しかし、阿部さんの方が顔面蒼白で悲惨な顔をしてる。


床にへたり込んで冷や汗が凄い。





「……おい、阿部」


「はい」


「お前、人の女と手なんか繋いで。いい度胸じゃねぇか」




ヤンキー座りで肩をガシッと抱く先輩に阿部さんは本気で顔を引き攣らせる。


地獄の底に叩き込まれそうになっている罪人。


若しくは崖っぷちで足を滑らせた熊だ。


俯いて怯えきった顔をしてる。




でも、先輩の方は顔が笑ってる。


凛とした目を細めて口に弧を描いて、声だけ凄んでる状況。


つまり冗談でやってるだけ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る