第17話

「1回だけですよ?」


「おう」



コホンと咳払いをし、立ち上がった阿部さんの方にクルっと体を向ける。



今の私は頭の中じゃ完全に魔法少女メルファだ。


敵に囚われた仲間を助ける為に、魔法の力を持った同級生の男の子に助けを求めてる。



目の前に居るのは同級生の阿部君。


その肉付きの良い手をガシッと掴む。




「お願い。助けて!私には貴方の力が必要なのっ」


「ダメだよ。メルファ。僕なんかじゃ…」


「いいえ!貴方の力は素晴らしいわ。その魔法の力で敵も一撃よ!諦めないで」


「うー、んー、分かったよ!メルファ。僕で力になれるなら君の魔法のステッキに僕の魔法のパワーを注入…」


「あー、お前ら悪い。待たせた…、って何やってんだ?」




間に割り込んだ声に2人揃ってビクっと肩を震わせる。



振り返ってみたら案の定、不審者を見るような加賀先輩の姿が。

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