第11話

「お、お前。俺から聞いたって言うなよ!」


「分かりました。言っときます」


「いや!マジで言うなってぇ!言ったら北極に捨てに行くって言われてんだからよぉ」




泣きそうな顔で阿部さんが叫ぶ。


本当に言うつもりはないけど、口止めされた事をポロっと話したお仕置きだ。


ちょっと反省して欲しい。


しかも近所迷惑。


コンシェルジュの人がビックリして見にきたじゃない。




「意地悪ぃな、おめぇ」


「よく言われます」


「ちぇー。加賀さんも、あんだけ毎日毎日エロ可愛い女共に言い寄られまくってて、なんでわざわざこいつを選んだんだか」


「さぁ…。なんででしょうね」


「まぁでも、何となく理由は分かるな。お前って加賀さんが飼ってる犬にソックリだし」


「え、犬…?」





また犬かい!と心の中で突っ込む。


先輩にしたって阿部さんにしたって、私を犬にソックリって。


そんなに似てるの?


ちょっとじっくり見てみたい。


前に見た時はドア越しからチラッとしか見えなかったし。

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