第8話
ペコと頭を下げた私に阿部さんはニカッと歯を見せて元気に笑う。
出会った当初に比べて随分友好的だ。
別人みたい。
慣れの問題?と疑問に思っていると阿部さんがテーブルに身を乗り出してグイッと顔を近づけてきた。
意味深にニヤニヤと笑いながら。
「それより、おめぇ、聞いたぞ。加賀さんの女になったんだってな」
「は、はぁ?」
「加賀さんが言ってたぞ。チエミは俺の女だ、って」
「嘘っ!?」
なんで!?どうして⁉一体全体何を考えてそんなこと言っちゃったの!?先輩!と声を大にして問い詰めたい。
あれだけ俺との関係は秘密にしとけと私に言ってたのに。
そもそも私は先輩の彼女じゃない。
付き合うなんて話、一切出てないもの。
いや…。
それとも先輩の中で私は既に彼女の位置付けに居るんだろうか。
“自分の女”ってカテゴリーに入れてたくらいだし。
だとしたら…。
それでもいいかな。
色々あり過ぎて疲れたし、先輩との関係が曖昧なままだと余計に心の中がモヤモヤする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます