第89話

「え、何…。安久谷のやつ、どうした…?」


「分かんない」



他の社員が我に返ったのか周りでコソコソと言い出す。


普段やられっぱなしの私がぶちギレてる姿は流石にインパクトが強かったらしい。



皆、困惑してる。



一緒になって罵倒してくるかと思ってたけど、今のところは全くだ。


ただの傍観者。


腹立たしさより驚きのが勝ってる状況。




「~の件ですが」



伊那君と今城さんだけは事情を知ってるから平然とした顔で仕事をしてる。



伊那君は離れた場所で電話対応を、今城さんは私が頼んだ書類を作成中だ。



ちなみに社長には許可を貰ってる。


伊那君が私達の話を聞いて社長に話を通してくれたから。

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