第77話

「色々言ってくれてありがとね」


「もう!お礼なんて。私は事実を述べただけなのに」


「ん、でも、あんな風に庇って貰うのは初めてだったから嬉しくて」


「そんなのこれからは幾らでも。私は桑子さんラブなんですから」




至極当たり前のように言われ、気持ちがスッと軽くなる。


自分を好きだと言ってくれる人。


彼女の存在がどれほど私の中で大きいか、どれほど支えになってるか、今城さん本人はきっと知らないだろう。



伊那君にしろ、今城さんにしろ、味方が誰か1人でも居てくれるだけで、こんなにも心強くて暖かく感じるものなのかと、この歳にして初めて知った。



自分は自分だと桑子は桑子なのだと認めてくれる人が居るだけで、そのままの自分を大切に思ってくれる人が居るだけで、心の中の真っ黒な感情が浄化されていく。



淡く穏やかに人生が色付いていくようだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る