第78話

「それにしてもあの方はいったい何なの?失礼だし、許せないわ」


「んー、まぁ、萌はなぁ…」


「桑子さんも桑子さんよ。失礼な事をされても許して差し上げるから怒られないと思って付け上がるんです」


「……そうかな?」


「そうです。酷い事をされたら、ちゃんと怒りましょう。自分の事を嫌いだと言うなら尚更。遠慮なく」


「うん」


「嫌いだから嫌がらせをしても当たり前。自分は許さないけど相手は許して当たり前。そんなの向こうの独り善がりな甘えなのですからね」




キッパリさっぱりと言い、今城さんは仁王立ちで強気な眼差しを私に向けてくる。



まるで師匠と弟子だ。


仕事の時とは立場が逆。


処世術の先輩。



手を掴んだら上へと引っ張り上げてくれそう。


何処までも高く、遥か頭上へと飛んで行けそうな。


希望に満ちた気持ちにさせられる。

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