第67話
別に下の名前で呼ばれるくらい、今城さんだって呼んでるし、普通。
普通だけど…普通なんだけど!
何だか伊那君に呼ばれるのはちょっと照れ臭い。
嬉しさ半分、恥ずかしさ半分、2つ足して喜び全部だ。
「嫌?」
「いいよ!」
声が被る勢いで言った私に、伊那君は「やったー」なんて子供っぽい事を言いながら機嫌が良さそうに笑う。
やばい。今日も笑顔が眩しい。
キラキラだ。
浴びた光で芽生えた淡い感情がスクスク育ちそう。
光合成でも行うみたいに。
「桑子」
「はい」
からかうような口調で名前を呼ぶ伊那君にえらく畏まった姿勢で返事をする。
緊張に緊張。
名前くらいで。
中学生か!と思うけど止まらない。
しかし、全力で萌える私の感情など露知らず、伊那君は私の肩をポンっと叩くと「社長室に行かなきゃ。また後でね」と去って行った。
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