第66話

「今城さん、ちょっといいかね?」


「はい」



部長に呼ばれて今城さんが離れていく。



お昼前とはいえ、皆が仕事をしている最中。


割と煩い環境なのに、何故かその場が静かになったように感じ、歩いて行く今城さんの背中を少し寂しく感じながら見る。


すると、伊那君が私を見てクスっと笑った。




「良かったじゃん。仲の良い友達が出来て」


「うん。本当にね。毎日楽しい。名前を呼ばれる度に嬉しい気持ちになる」


「ふーん。なんかいいなー。それ。ちょっと羨ましい。俺も桑子って呼ぼうかな」


「えっ!?」


「ダメ?」




お願いするように小首を傾げて微笑まれ、思わず持っていた書類を手から落としそうになる。



え、いきなりまさかのラブイベント発生?


名前呼び?


何かやったっけ?


パラメーターが上がる事やったっけ?


会話でハートが1個増えた?なんて一瞬の間に考えてしまう。

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