第62話

それに毎日一緒に居てくれるお陰で仕事に対する嫌がらせが減った。


影でコソコソとはやられるけど、堂々とはして来ない。



部長の目もあるし、さすがに新入社員の前ではやりにくいんだろう。


お昼休憩のハブも今城さんと一緒に食べるから成立してないし、あるとすれば無視とか悪口くらいだ。



ただ以前とは変わり、匂わせっぽく、言われた本人にしか分からないような方法で“キモイんだよ”と言ってくるようになった。



それこそ、何か一言でも私が喋ると『おっはよーございまーす』と裏で声真似をされ。


チョコを食べてると『チョコ、チョコ、チョコ、マジうざい。キモイ』と歌いながらチラ見され。



目が合うと『うざ。ゴミに睨まれたわ』と避けずまれ。


伊那君と喋ってると『今日も男に媚び売りまっしょい』と掛け声を放たれ。



今城さんが私に駆け寄ってくると『後輩相手に偉そうにしてる女って居るよね~。見るとムカつく。調子に乗んなって思うわ』と言われる。



その他タイムリーな悪口を色々。



まぁ多分、イライラして止まらないけどハッキリと言う訳にはいかないから、わざわざそんな回りくどい事をやってるんだろう。



保身しながらの攻撃。


吐き出したくて我慢出来ないけど、面倒なの嫌だし、とりあえず分かんないように言っとけ~!みたいな。



別にいいけど、何がムカつくかってたまに私までウケてしまう事だ。


それはセンスあるわ!よく考えたな、って。



勿論、笑った瞬間、般若のような顔で睨まれるのは言うまでもない。

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