第61話




「桑子さん、出来ました!確認お願いします」



今城さんが満面の笑みで出来上がった書類を私に差し出す。



今城さんが入社して2週間。


お昼休みも後少しって時間帯。



どうやら社会勉強の一環としてこの会社にやって来たらしい彼女は、今日もお嬢様オーラ全開で私を見つめながら少女漫画の主人公の如く目を輝かせている。



まるで恋でもしているような熱烈な視線。


何処に行くにしたって四六時中ベッタリ。


トイレにまで「御供します!」と付いてくる徹底ぶり。


すっかり私に懐いてしまった。



今だって受け取った書類にオッケーを出した私に“褒めて褒めて”と言わんばかりに纏わり付いてくる。




そこまで懐かれて鬱陶しくないのかって全然。


普通に嬉しい。


可愛くってしょうがない。


こんな風に好意を寄せられるのなんて初めてなんだもの。

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