第59話
そうか。
あの時の人だったんだ。
会社から割かし近い店だし、あるちゃある話だけど、不思議な縁もあるもんだ。
「あなたお名前は?」
「安久谷桑子です」
「桑子さん!お名前まで素敵でいらっしゃるのね」
「いや…、別にそんな」
「それにお名前も
「あー、2人とも。そろそろいいかね?」
ランチ中の女子会みたいな雰囲気を醸し出す私達の間に、部長がコホンと咳払いをしながら気まずそうに割り込む。
振り返って見てみれば、全社員が興味津々な顔で私達を見てる状況。
あ、そうだった。
皆の前だったっけ?
今城さんのパワーが凄すぎて、すっかり忘れてた。
伊那君なんて、ちょっと笑ってるし。
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