第51話

「そんな深く考え込まなくてもいいのに」


「うーん。そうなんだけど…」


「ほんと安久谷さんってその辺、真面目だよね。悩みすぎると言うか」


「本当にねー。自分でも思う」


「もっと気楽に。適当に。軽い気持ちを持って。1つ1つを重く捉える必要はないって」


「……うん」



本当に“うん”だ。


伊那君の言う通り。



私って、いちいち重い。


心身共に根っからの闇属性。



光属性な伊那君と私の決定的な差はこれかも知れない。


人生なんて重りをズルズルと引きずって歩いて行くよりも、空のペットボトルを頭上にひょいひょい投げながら歩いて行った方が何事も上手く行く気がする。



フットワークも軽くなるし。



大事なモノだけ慎重にしっかり運べばいい。

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