第38話

もう。これじゃ、どっちが悪役なのか分からないじゃない。


見方を変えたら、イジメられてる私の方が悲劇のヒロインじゃないかと思えてくる。



悪役にしたくせに悪役はやらせて貰えない。


矛盾してる。


悲劇のヒロイン兼、悪役になってしまってることに本人達はまるで気付いてない。




「おはよう、安久谷さん」


「ひゃ…っ、ビックリした」



挨拶と共に肩を叩かれ、肩をビクつかせながら振り返る。



散々、無視されまくった後だから心の底から驚いた。


勿論、私に挨拶をしてくれる人なんて社長と部長以外にただ1人。


伊那君しか居ない。



彼は私がイジメられてても全く態度を変えない。


それどころか、初めてご飯に行った日から更に仲良くなった気がする。


と言うか確実に仲良くなった。


ここ数日、毎日のように仕事帰りにご飯を食べに行ってる。

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