第21話

「ふーん。なんか嬉しいわ。気が合うのかな」



チョコのパッケージを開けながら伊那君がポツリと呟く。


あ、同じこと思ってた。


やっぱり気が合う。



なんて考えてたら伊那君がチョコを口に振り込んで私に顔を向けた。




「安久谷さん。この後、暇?」


「うん。特に予定はないけど」


「だったら飯に付き合ってくれない?」


「え?」


「美味そうな店があるんだけど、1人じゃ入りづらい雰囲気でさ。困ってたんだよね」




そう言うなり伊那君はパソコンを閉じてささっと帰り支度を始めた。


会社の最寄り駅の近くにあるだとか、洋食屋だとか、オムライスが美味しそうだとか、色々とお店について説明してくれてる。


だけど、そんなのぶっ飛ぶ気持ちだ。


誘われた衝撃が強すぎて呆然と固まってしまう。

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