第11話
次の日、わたしはお姉ちゃんと共に朝ごはんを食べてから友香ちゃんに連絡を入れて今日の授業から出る旨を伝える。迎えに行こうか? と聞かれたけれど、とりあえずお姉ちゃんがいるから大丈夫と返信すれば「わかった、また大学でね」と返信が返ってきた。
そうして、私はお姉ちゃんに大学まで送ってもらうことになった。
仕事は? と聞いたけれど昨日も午後出勤だから大丈夫、と言っていたのでならいいんだけど、と会話をしながら私はお姉ちゃんの車からでる。
「あ。綾」
「? 何?」
「今日、昨日言ってたルームシェア相手に迎えに来させるから、春翔がここにきてもついていかないようにね」
「えっ、もう話まとまったの?」
「もちろん、綾のためだからね」
「な、なんか本当にごめんね……」
「気にしない気にしない! とりあえず、その相手には綾の写真とか見せちゃうからね。顔わからなかったら声もかけられないだろうし」
「うん。私にも相手の人の写真欲しいんだけど……」
「ごめん、持ってない」
「だと思った。いいよ、相手の人が私に声をかけてくれるんだよね?」
「そうそう。とりあえず、勉強頑張ってらっしゃい。講義は? 何コマあって終わりの時間は?」
「今日は四コマで、最終までいるから、ちょっと遅いかな……。とは言っても7時前には終わるけど」
「ん、りょーかい。じゃあ、その時間帯に迎えに行ってもらえるように頼んどくわー。あ、友香ちゃも一緒に待っていてもらえることはできそう?」
「理由を言えば多分大丈夫だと思うけど……でもそこまで友香ちゃんに迷惑をかけるわけにも……」
あまり乗り気ではない私に、お姉ちゃんも少し考えている。私の性格を知っているが故に、多分どうやって丸め込もうかと考えているのだと思う。
丸め込まれないようにしないとと、思っていると、後ろから突然声をかけられた。
「わたしは気にしないから別にいいわよ、綾」
「ぅわっ!?」
「あらー、友香ちゃん、おはよう」
「おはようございます、涼香さん。そして引き受けますんでご安心ください」
「ま、本当? 助かるわ〜、今度はうちのお試しサロンの割引券でも持ってくるわね〜」
「えっ、本当ですか? ありがとうございますいただきます!」
「動機が不順に聞こえてきてしまうのは仕方がないのかもしれないけれど、もうちょっと私に気を使った会話をしてくれるとうれしいかなー……」
「もちろん、綾のことを第一で考えての発言よ。無理ならちゃんと無理って言うから。安心して」
「そうよー、こっちのわがままに付き合わせているわけなんだから、それ相応の対価を支払わないと。そして卒業後はぜひウチの会社を受けてくれると嬉しいわ」
「お姉ちゃんが一番ずるかった!!」
そう言いながら、お姉ちゃんはそろそろ家に一度戻るわー、と言って車を発進させた。それを見送り、私は友香ちゃんと一緒に学内に入ってそのまま講義に参加したのだった。
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