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第7話
目が覚めてから、まず私がしたのは友香ちゃんに謝罪のメッセージを入れることだった。多分、理由を明記しなくてもわかってくれるだろうと甘えたことを考えながら今日は大学を休む旨を友香ちゃんに連絡を入れれば、友香ちゃんからは無理しないようにとの返信をもらった。
……うん、わかってはいたことだけれど、バレバレだね。
うん、ごめん、まぶたが腫れすぎてて外に出ることができないのですよ。はぁ……とりあえず、冷やそう。今日はそれに徹するしかない。うん。
ご飯とかもとりあえず冷蔵庫に残っているものを使って適当に作ればいいかな。
そんなことを考えながら、私は今日一日をどうやって平穏に過ごすかを考えたのだった。
◯
お昼過ぎ。
うたた寝をしていた私は突然にハッとして起き上がり、時間を見て少しびっくりする。とりあえず、何かご飯を作ろうとキッチンに立ち、適当に冷蔵庫からお肉や野菜を取り出して料理をしていく。
ご飯を炊きながら、野菜を刻み、お肉を焼いて、ちょうど一回分ぐらい残っていた生姜焼きのタレを使い、生姜焼きを作る。
汁物は味噌汁を飲みたい気分、と言うなんとも勝手な理由で作る。今日は赤味噌が多い方が嬉しい気分なので、自分でブレンドして味噌を溶かしていく。豆腐とわかめ、あとはエノキを入れて温める。
ご飯がちょうど炊ける音が背後からしたため、よし、と一人呟いて作り終わったおかずをダイニングテーブルに運んでいく。味噌汁もお椀によそって持っていき、ご飯をお茶碗によそって持っていく。
テレビをつけてお昼のニュース番組をぼんやりと見ながらご飯を食べていると、スマホのバイブ音がしたような気がして自分のスマホに視線を向ける。けれど、特に変化が起こっているようには見えなくて、私はまあいいかとそのまま放置する。
ご飯を食べ終わって洗い物を完了させたあと、なんとはなしにスマホを開こうと画面を明るくさせた時、私は思わずスマホを落としてしまった。
がたんっ、と床に叩きつけられるような音が響くなか、私はそれでもスマホを拾い上げることができず、しばらくの間、自分のスマホをじっと見つめることしかできない。
「な、なん、で……」
自分が見たものを現実として受け入れることができなくて。でも、それは確実に自分のスマホの中で起きている出来事でもあって。
恐る恐る、私はスマホを拾い上げてもう一度画面を見て、そしてもう一度ゾッとした。
画面には、いっぱいに春翔にぃの名前が連なっていて、着信も、メッセージも入り乱れている。震える指先で下にスライドさせていっても、画面には春翔にぃの名前でいっぱいになっている。
どれほどのメッセージと着信を送ってきたのかと恐怖に震えてしまいそうになりながら、私はようやく見つけた別の名前に思わず縋り付いた。
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