第76話

「なんで…」


「うん。お兄ちゃんっていつもそう。要らなくなると拒否って捨てるの」


「そんな…、ゴミみたいに?」


「そうだよ。愛されたいけど、愛さない。自分のことは愛して欲しいけど、他人のことは愛せない」


「……」


「でも、ただ捨てるのは勿体ないじゃん?だから私が売って再利用〜みたいな」




病んだような笑みを浮かべながらクゲ君の妹は私に言った。


クゲ君が人を借金漬けにして妹が借金漬けにされた子を売る。


ココはそういう場所。


それが私達の仕事だ、って。




「そんなことしてたら捕まるよ」


「捕まらないよ。誰にもバレないもん」


「なんで?」


「だってバレないようにキリちゃんは男と失踪した、って噂を弟達に流して貰うから」



「弟達…?」

  

「弟分またの名を下僕?お金さえ払えば何でもやってくれるの」



1噂1万。噂って便利だよね。人は簡単にお金で動くって楽しそうに。



電車で会ったクゲ君の弟もマキちゃんが言ってた通りお金で雇ったらしい。



私を信じ込ます為に。

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