第74話

「つまり、クゲ君がいつも話してた妹の話はあなただったってこと?」


「多分ね」


「多分って…?他にも居るの…?」


「居るよ。2、3人」


「………」


「でも、お兄ちゃんの1番のお気に入りで古株なのは私」




冷めた瞳をそのままに少女は宙を見つめてニンマリと笑った。



何それ、何それ、何それ。


気持ち悪い。


え、一緒に寝てるとかお風呂に入ってるとか言ってなかったっけ?


朝まで離してくれなかったとか、そういう…。




「えっと、キリちゃん…だっけ?バカだね。お兄ちゃんに騙されて」


「騙され…て…?」


「知らない?お兄ちゃんの言う話は全部が全部、嘘。何なら人を騙して売るのが私たちの仕事だから」


「は…?」


「この間ココに来たマキちゃんって子も似た手口で騙して売った。1000万の値段が付いてたよ」


「……」


「せっかく拘束なしの好条件だったのにね。キリちゃんにバラそうとするから別の場所に飛ばされちゃった」




可愛らしい顔立ちには似合わない病んだ双眼が、ニマニマと私の顔を覗く。


何それ。1000万?売った?マキちゃんを?


別の場所に飛ばされた?



まさか、まさか、まさか。


意味が分からない。


嘘でしょ?

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