第70話
「お願い、キリちゃん」
「……うん」
「すげぇ好きだから」
「……」
「まだ一緒に居たい」
甘えるようにそう言ってクゲ君は流れるように私の手を引いてホテルの中へ入った。
雰囲気に流されたのかも知れない。
酔っててそういう気分だったのもある。
だから部屋に入ったって特に拒否ることはなく。
むしろ当たり前のように身を委ねた。
終わってみれば、クゲ君は普通に上手かった。
上手い上にすっごく慣れてた。
そんなに経験豊富じゃない私がそれにあっさりハマッてしまう程度には。
「早く辞めたいな…」
「あと、どれくらいなの?」
「んー…、このまま行けば今月中には」
「そっか」
クゲ君は早くヤメたかったらしい。
ベッドの中でも頭の中に置いた計算機をずっと叩いていた。
私を抱き締めてる間もずっと。
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