第65話

「あ、気になる子とか居たら言って下さいね。呼んでくるんで」


「はぁ、ありがとうございます」




ニコニコ笑ってお酒を作る男の人に思わず気の抜けた返事をする。



それならマキちゃんを連れてきてー!と言いたい。



ちなみに、なかなか見つからないマキちゃんにとは違い、クゲ君はわりと直ぐに見つけた。



他のテーブル席でお客さんと楽しそうに話してる。




相変わらず髪の毛だけは派手派手で、薄暗い店の中に居てもやけに目立つ。



移動してたら直ぐに諸分かり。




しかし、見てると何だか思ってた感じとは違う。



結構忙しそう。



だって、あっちのテーブルもこっちのテーブルもクゲ君を指名してるお客さんばかり。



シャンパンコールは鳴り止まないし、どのテーブルも高級ボトルで埋め尽くされている。



意外と人気?


もしかしてNO1の噂は事実だった?


騙されてたのは私?


皆が言ってたことは正しかった?



そんな疑問が浮かび上がってきた頃、通りかかったクゲ君が私の存在に気づいた。




「キリちゃん…!?」



私の姿を目に捉えたクゲ君は驚いたように目を見開いて飛んでくる。



怒りもせず、嫌がりもせず、ただただ驚愕。



なんでココに私が居るのか、いつから居たのか、クゲ君は私の手をギュッと握り締めながら永遠と問い詰めてくる。

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