第64話

「うーん…」



どうしようかな…と唸る。



ここで待つか、店の中へ入るか迷う。



一応お金は結構持ってきたけど、無縁な世界なだけに不安な気持ちでいっぱい。



引き返すなら今。


何も知らない振りをするなら今。



そう思いながらも確かめずには居られず中に入ってしまった。






「――こういうお店、初めてですか?」


「はい。まぁ…」




普段あんまり喋らないような派手な男の人が隣に座って話しかけてくる。



マキちゃんっぽい人を追い、中に入って数十分。




正直中に入ったのを、ちょっと後悔。



どの席にその子が座ってるのか分からないし、店の中をキョロキョロ見回してたら他の席の女の子に鬱陶しそうな目を向けられてしまった。



苦肉の策で「トイレに行く」と言って他のテーブル席をチラチラ覗いてみたけど、やっぱり見つからない。



従業員に聞くわけにもいかないし、困った…。


これ以上、探しようが無い。

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