第62話

「――クゲの働いてる店って繁華街の…」




大学で話題のクゲ君のホストの噂。



お店の場所をどう聞き出すか悩んだけど、そこはもうさすが噂好きの皆。



毎日のように聞き耳を立てまくってたら、本人に聞くまでもなくお店が分かってしまった。



いつも耳障りに感じてたけど、こういう時は便利だなと都合の良いことを思う。




とにかく店の場所が分かって数日後。



マキちゃんの姿を探すべく、クゲ君が働いているお店の近くまで来てしまった。



深夜に近い繁華街の路地は意外と明るく人通りが多い。



不審者だと思われないようにスマホを片手に待ち合わせをしている人の振りをして、1人物陰に隠れてひっそり。




絶対に来るなと言われた手前、行くとは言い出しにくく、クゲ君には何の連絡も入れぬまま。



怒られたら帰ろうか。ってそんな軽い気持ち。

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