第50話

「それはね、きっと、その子にお小遣いを渡して弟の振りでもして貰ってたんだよ」


「何それ。なんでそこまでして私に兄弟だと信じ込ます必要があるの?」


「そりゃ嘘がバレにくくする為でしょ」



「はい?その為にお金まで払って他人に演技させてたって?」


「そうだよ。先行投資みたいなものじゃん」


「意味が分からない。そもそもホストもしてないのに、お客さんの子って…」


「だからしてるって!」




店に行けば直ぐに分かることじゃん!と、マキちゃんは苛立ちを吐露するようにテーブルを叩く。



顔まで歪めて必死に言って、こんなマキちゃん初めて見た。



そこまでマキちゃんを必死にさせるものって何?




「私を騙したところで何も出てこないじゃん」


「無くったって作り出すの。クゲ君は」


「じゃあ、マキちゃんはそんな友達を騙すようなクズでゲスな人が好きなの?」





ずっと気になってた事を聞いてみる。



あれから日は経ったけど、マキちゃんは未だに何も言ってこない。



相変わらずクゲ君にも言い寄ってるらしいし。



日に日に連絡や待ち伏せが増えてクゲ君も相当まいってるみたいだ。




私に言いづらいのは分かるけど、言えなくて悩むくらいなら吐き出して欲しい。



最近のマキちゃんは様子がおかしすぎて心配だ。



全く笑わないし。

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