第43話

「あのさ、こんなのキリちゃんに言うのもどうかなと思うんだけど」


「うん」


「実は俺、この間からマキちゃんに付き合って欲しいって迫られてて…」


「え?」


「ちょっと困ってるんだよね」




クゲ君から出てきた思わぬ発言に目を見開く。


何それ、初耳。


マキちゃんがクゲ君を…?



いや、確かにカッコイイとは言ってたけど。



あれだけクゲ君のことを悪人みたい言ってたから、あんまり好きじゃないのかと思ってた。



本当は好きだったの?



信じられない。




あ、だから最近おかしかったのかな。


そのことで、ずっと悩んでて?



色々言ってる手前、私にも何も言えず…。



ここ数日、笑顔も少なくなって、ますます変だし。





「付き合えないってハッキリ断ったんだけど。なかなか諦めてくれなくて」


「そうなんだ…」 


「毎日連絡もくるし、待ち伏せされるし、ファンにも勘違いされるし、本当にどうしようかなって感じで」


「うーん」




確かに。断っても諦めてくれないのは困る。


恋心は簡単に切り替えられないものだけど。



クゲ君もマキちゃんも私にとっては友達だし。


何とも言えなくて凄い悩む。

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