第42話

「しかし、意外。キリちゃんもそういうの見るんだね」



頭の中でモヤモヤ考え込んでいると、クゲ君がポツリと窓の外を見て言った。



心做しか表情を曇らせてる。




「いや、初めて見たけど…」


「そ?じゃあ、俺に興味を持ってくれたから見た…って良いように変換していい?」


「や、そこはバンドの方に興味を持ったと思ってよ」


「えー。それならイベントの告知とかやってる方のサイトを見るかなって」


「あー…、確かに」


「何かちょっと違う感じ?」


「うーん。何というか…」




友達がサイトを見つけて、こんなのあるんだって感じに見てたから。私も少しだけ見せて貰った。と内容を曖昧に濁して話す。



さすがにガッツリ見たとも見せられたとも言いにくいし。


ましてや真相を追求しようとしてたなんて言えない。




「あぁ、キリちゃんの友達の…マキちゃん、だっけ?」




私の話を聞いたクゲ君の表情が重く沈んでいく。



何?と首を傾げると、言うか言わないか悩んでいるような顔。



しかし、言わずには居られなかったらしい。



クゲ君はため息交じりに電車の手すりに凭れると重々しく口を開いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る