第17話

「やばいなー。他人とこんな楽しく喋ったの久々だし。凄い嬉しい」


「そう?」


「うん。ありがとね」




そう言ってクゲ君は祈るような手付きで私の手を両手で包み込んだ。



コテンと首を傾げて、まるでおねだりでもされてるようだ。



視線を重ねたまま微笑を浮かべられ、何でだか喉がヒュッと鳴る。



「また会ったら喋ってくれる?」


「う、うん」


「え、いいの?」


「いいよ」


「やったー。ありがとう」




別に普通なことなのに、クゲ君は驚いたように目を見開くと、心底嬉しそうに笑った。




そんな大げさな…と思ったけど、釣られて笑顔。




普段みんなに避けられてるから、こうやって普通に友達と話すことが少ないのかも知れない…。



そんな同情に近い考えが頭に過ぎる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る