第16話

不憫な…。


勘違いだとしたら結構キツイ。


ちょっとだけ同情の目で見る。




「NO1ホストとか笑ったわ。ただの皿洗いだし」


「え、そうなの?」


「そうだよ。時給1000円で必死に頑張ってんだから」


「そっか…」


「そもそも俺がそんな職に就けるわけないじゃん。酒も飲めないのに」




ヘラっと笑うクゲ君にキョトンとしてしまう。


聞いてた話と違いすぎて混乱してきた。



どれが本当?全部、嘘?



悩んでいると、クゲ君はスマホを取り出し「うちの弟達」と言って、私に写真を見せてきた。



写真の中には確かにクゲ君含め子供が7人。


小学生の女の子が2人、中学生の男の子が1人、高校生の男の子が1人、幼稚園くらいの男女が2人。



クゲ君が1番上みたいだ。




「へぇー。ちょっと似てる」


「でしょ。可愛くてさ」




写真を見て屈託ない笑みを浮かべるクゲ君。



一点の曇もないその笑顔は本当に弟達が可愛くて仕方ないんだと思わせた。

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