第11話

「ありがと〜。助かった」


「いえ…」


「今日はやけに混んでるよね」


「まぁ…」


「空いてる場所が全然見つからなくってさ。どうしようかと思った」





しかし、考えが甘かったようだ。



話し相手が欲しかったのか、それとも知らない人の隣で食事をする気まずさからか、クゲ君の口が一向に止まらない。




食堂のメニューから、講義の内容から、好きな漫画の話から、バンド活動の話まで色々。



話題がコロコロと移り変わる。



相槌を打つこちらの箸もなかなか進まない。




こんな時にマキちゃんは居ないし。


周りの視線が鬼のように痛い。

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