第10話

「ね、隣に座っていい?」



次の日。


お昼のうどんをお箸で持ち上げた瞬間、食堂にやってきたクゲ君に声を掛けられた。




突然の来訪者に目が点。


しかし、クゲ君はアウアウ言ってる私を物ともせず、ちょこんとあざとく首を傾げ、空席だった私の隣のイスに指を差した。



チクショー。可愛い。



どうしようもないクズだと分かっていながらも、ついついトキめいてしまうのは、無駄に整ったその顔立ちの所為だろう。



こんなに可愛いのに、なんでクズ…。


性格を歪ませた原因が知りたい。




「ダメ?」


「え?いや、どうぞ」



返事を催促され、一瞬、迷ったのちコクリと頷く。


何かちょっと複雑だけど、言うて公共の場だし、断る権利なんて私には無い。


嫌ならさっさと食べてどっかに行っちゃえばいいだけの話だし。

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