おまけ

第70話

そういえば。と、私は今までずっと気になっていた事を思い出す。



(……私、マレ様の年齢って知らないのよね……)



 それを聞く余裕がなかったということも勿論あるけれど、見た目的な年齢も、行動的な年齢も訳がわからないのだ。


 大人も子供も混じったマレ様を見つめて、私はうーんと少しだけ考える。


 初めてあった時、私はすでに19歳だった。そして、それから結婚式を挙げることが叶ったのは2年後の21の時。……うん、これだけ見ると、私ものすごく嫁ぎ遅れてることがわかるわ。ごめんなさい、マレ様……。


 けれど、その二年間の間のことを思い返してみても、やっぱりわからない。


 ……気になり始めたら、本当に気になってきた。


 夜にでも聞いてみよう。









「え、私の年齢?」


「はい。そういえば、私知らないなと思ったら、なんだか気になってしまって……」


「………………」


「マレ様?」


「いくつに見える?」


「えっ」


「言ってみてよ、ステラ」


「え、いえ、あの……本当にわからないから聞いているのですが……」


「いいからいいから」


「え、えーっと……」



 まさかそんな風に言葉が返ってくるなんて思っていなかった!


 けれど、ロトメールでもシエル姉様やジュードが呼び捨てにしていたことから、そんなに年齢は離れていない?


 いや、でもどうなんだろう……。



「ステラ、そんなに難しく考えないで。ほら、なんとなくでいいんだよ?」


「えと、えっと…………に、25歳…前後?」


「ふ、ふふっ、そ、そっか、そう見える?」


「ま、待ってください、なんで笑うのですか!?」


「じゃあ、今日から私は25歳前後だね」


「マレ様、あの、誤魔化さないで教えてください!」


「どうして? ……むしろ私は嬉しいけれど」


「え?」


「なんでもないよ。ほら、もう寝ようか?」


「あ、ちょっ、きゃっ!」


「体を冷やすのは良くないからね。抱きしめていてあげる」


「ま、マレ様っ、恥ずかしいです!!」


「かわいいなぁ、ステラは」


「マレ様っ!!」



 結局、私はそのまま誤魔化されてしまった。


 私とそんなに年が変わらないとか? なら、年上に見られたのはやっぱり嬉しかったってことなのかな……。


 そう思い込もうと決めた私に、数日後、この会話の一部始終を生きていたエレメント様たちが、自分たちも気になって、私の自国であるロトメールにいるシエラお姉様と、ジュードに直接聞きにいったという事実を、まだこの時の私が知るはずもなかった。


 そして、その彼らから事実を知った私の絶叫が響き渡るのは、ほんの数日後のこと……。

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