第55話
――光が、襲ってきた。
「……っ!?」
「ステラ!」
「姉様っ!!」
私の息が止まる。シエル様の叫び声が、ジュード様の呼びかけが。遠くに聞こえてくるような気がしてならない。しかし、私はそれとは別に、自分の体を強く締め付ける何かを覚えていた。
訳も分からぬままに、私は私のすぐそばにある何かに、縋り、しがみついていた。
**
《久しぶりに、ここまで強い子を見たなぁ……》
《待ちに待った器ねぇ?》
《でも、受け入れるとは限らない》
《本体が小さい気がするからなぁー》
話し声が聞こえる気がする。……ああ、意識が一瞬抜けていた。もぞりと体を動かす。けれど、なかなか思うように体が動かない。疑問に思って、うっすらと目を開ければ、私の視界に広がったのは黒の色。
なんで、と思ったけれど、頭のすぐ上で小さな呻き声を聞いて、私はハッとした。
「……マッ、マリンフォレス様ッ!?」
「い、たた……、突然だったね。びっくりして思わず抱き込んでしまったよ。ごめんね」
「あ、いえ、それは、別に……」
《……あれ、なんか、普通に違う人も一緒に来ちゃったよ?》
《まぁ本当。普通の人だわ》
《誰、間違って連れてきたの》
《ここまで絡み合うようにしていれば、一緒に来るのは必然だろう》
また。声が聞こえる。思わずマリンフォレス様の腕の中で辺りを見回してしまう。けれど、私たち以外に人の気配がしない。
くびをかしげていると、聞こえてきている声たちも、不思議そうな声をあげた。
《ねぇ、気のせい? この子、見えてなくない?》
《うーん、わたしもそう思っていたところなのよねぇ……》
《はっ、所詮人間てことだろ》
《なんでそう言う言い方するかな?》
誰なんだろう。そして、ここはどこなのだろうか。
《本当にわからないみたいだねぇ》
《あらあら。困っちゃったわねぇ?》
《ね、その間延びした話し方やめてくれ。イラつく》
《まぁまぁ。それよりも、これほどの器を持ちながらこちらがまあていないと言うのはいささか引っかかるな》
「…………私は、…………“ステラ・レイ・ロトメール”。あなた方が、私に“力”をくれる方たちですか?」
《おっと。声は聞こえてるんだったね。そうさ、君の言う“力を与える”者たちだ》
「どうすれば、私にそれをくださいますか?」
《無条件にもらえる、とは思わないのかしら?》
「何事にも、対価は必要です」
《なら、なんでもする訳だ。お前の望みを叶えるためだからな》
「それは違います。私にも出来ることできないことは存在します」
《うーん、でもなぁ……》
聞こえてくる声に、言葉をかける。答えてくれる声は四人。普通に考えれば、この声は――。
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