第2話
白雪姫のその言葉に、白紅麗は少しだけむず痒く感じながら、それでも嬉しくて少しだけ頬を赤く染めて俯く。
と、それを白雪姫が指摘する。
「あ、姉様、照れてますか? 本当にお可愛らしいです!」
「か、からかわないで、白雪姫……とても恥ずかしいのよ……?」
「ふふっ、知っております」
もうっ、と小さく怒れば、白雪姫はそれでも嬉しそうに白紅麗を見つめる。
見つめても何もいいことなどないのに、いつまでも飽きずに見てくれる妹に、白紅麗は戸惑ってしまった。
「あ、あの、白雪姫……、そんなに見つめないで……。私は、綺麗じゃないから……」
思わずと言った感じでそういえば、白雪姫が全力で否定する。
「何をおっしゃるのですか! 誰がなんと言おうと、白紅麗姉様はとてもお綺麗です!」
「それは、ないわ……、みんな、私のこと美しくないと言っているわ。もちろん、私もそうだと思ってるわ」
「周りが僻んでいるだけです! 姉様、白紅麗姉様はとても綺麗だわ。少なくとも、白雪姫はずっとそう思っております。ですから、白雪姫の言葉を否定しないでくださいな……」
「……ごめんなさい、白雪姫」
「姉様……」
悲しそうな表情で自分を見る白雪姫に申し訳ないと思うけれど、きっと、生まれた時から言われ続けて来たその言葉を、なかなか自分の中で認識を変えられるはずもなくて、白紅麗も困ったように眉を下げる。
籠の中の空気が少し重くなる。
それを払拭したくて、白紅麗はなんとか言葉を吐き出す。
「そ、それよりも、白雪姫、今回の縁談はどうだったの?」
「姉様まで、そんなことを…。もちろん、お断りしました」
「ま、また……?」
「ええ。また、です」
「……だ、大丈夫なの?」
「だって、わたくしの前に姉様が婚姻するべきなんですもの。姉様が結婚するまで、わたくしはどんなお話も徹底的に叩き潰していきます!」
「そ、それはちょと困るのだけれども……」
「何をおっしゃるのですか! 白紅麗姉様が
はっきりとした白雪姫の言葉に、白紅麗はそれでも困惑した表情しかできなかった。
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