第11話

「俺のお嫁さんになってから伝えようと思っていたけれど、あれだけ盛大な告白を受けたから、もう許してあげる。期限っていうのも、あながち間違ってないしね」



 ……何が何だかわけわからんくなってきた。


 と、呆然としている私の体をくるっと半回転させて、私を改めて後ろから抱きしめ直した男が、何やら指示を出していると、目の前に、スクリーンのようなものが用意される。


 そして、ざざっと、ザッピングのような音がしたかと思うと、そこに映像が映し出され、その映像には懐かしの私の家族が写っていた。



『ひまりちゃん〜、元気〜?』


「お、お母さん!?」


『元気そうだな、ひまり』


「お父さんも!?」


『お姉ちゃーん、元気?』


「みかげちゃん!? なにその軽い感じの言葉!?」


『そこの王様にね? ひまりちゃんをくれって言われたから、与えちゃった』


「なにその軽い感じのやりとり!?」


『でも、一応ひまりちゃんの気持ちも大切だからね。三年のうちにひまりを振り向かせることができたらいいわよって、条件出したんだけど、落ちちゃったみたいね?』


「三年もの年月があれば情も湧くわよ!!」


『まあ、元猫の王国の住人としては王様の言葉には逆らえないし? 生贄見たいものだと思って、そっちで幸せに暮らすのよ〜?』


「なにその軽い感じ!? しかもここで会話終わりそう!? 待って待って待って!! なにも納得できてない!! しかもサラッとなんか大変重要なことをいった!?」


『じゃあね〜』


「容赦ないな母よ!!」



 そう言って、モニターから母の姿が消えて、その場にいるのは父と妹のみかげちゃんのみとなる。



『達者でな、ひまり』


「父よ!! その一言だけで終わりかい!?」



 たった一言だけ言って、父は颯爽と引っ込んでしまった。な、何という薄情な!!



『お姉ちゃん、いいな〜玉の輿だよ!』


「じゃあ変わってあげる!!」


『え〜でも、あたしは愛されるよりも愛したいから、無理かな! たまには連絡頂戴ね、お姉ちゃん!』


「みかげちゃん!?」


『これ、通信料金半端ないらしいから、基本的にこっちからは連絡しないと思っててね!』


「お金かかるの、この通信!? そっちに驚きだよ!?」


『じゃ、幸せにね〜』


「みかげちゃんーっ!!」



 無慈悲に、目の前のスクリーンから画像が消え去った。


 ……私の家族は何なんだ。


 呆然としている間に、私は知らないうちに私を抱きしめて離さない男と結婚することになったのだった。

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