第3話
「俺というものがありながらきみは浮気をしていたのか!?」
「……はぁっ!?」
「いや、きみの優しさは知っている…知っているが、きみが見るのは俺だけでいいんだ! 俺だけを愛してくれ!」
「頭おかしいこと言ってる! やめて! 私は人間なのよ!?」
「君はもうこの【猫の王国】の姫だ!!」
「なに勝手に身分与えてくれちゃってんのよ!? 地球に返せって言ってんのよ!」
「無理だっ!」
「無理じゃない!!」
「それよりも部屋の中に入れてくれ、お嫁さん!」
「誰があんたの嫁なのよ!! それに、起きたときに全裸だった男を部屋に入れるなんてできるわけないでしょう!?」
叫んでからその瞬間のことを思い出してしまって、赤面してしまう私は悪くないと思う。というか、なんでペルシャ猫が人間に化けるのよ。名残として頭に三角の耳がついていたし、お尻からはシッカリと尻尾が生えていたけども!!
ふっかふかのベッドの上でシーツを頭からかぶって防御と言えなくもないことをしている私は、なんとなく、滑稽に思えてきた。……自分で気づくことほど虚しいものはないよね。
ため息をついてそのままコロンとベッドの上に転がっていまだに扉の外で喚いている声を無視して、心の中で念じ続けた。
(覚めろ覚めろ覚めろ覚めろ……夢夢、これは夢。むしろ悪魔!! 目が覚めれば現実地球さんこんにちはさらば夢の世界!!)
いや、そもそもすでに一回気絶していて目が覚めてからもこの夢と思いたい場所にいるんだから夢じゃないのは理解はしているつもりよ? つもりだけどね。
それを受け入れるかと言われれば答えは「ノー」であり、まるで呪詛のように念じ続ける私は何も悪くない。
「全裸だと入れることができない…ということはきちんと服を着ていればいいということだな!? 早く! 誰か服を持ってこい!」
「まだ着てなかったの!? 馬鹿じゃないの!?」
「今からきっちりと着るから!」
「遅いわ!!」
「でも、君ももうこの国の住人として認められているんだ! 証拠に君にもちゃんt猫耳が生えている!!」
「……………え?」
何追われたのかわからなかった。え、何? 猫耳生えている?
……ネコミミハエテイル……?
「っ!!?」
起き上がって部屋の中を見回して、鏡を見つけて駆け寄り、覗き込んで悲鳴を上げた。
「なにこれーーーーっ!?」
扉の外で満足そうにしている男の存在なんて、完全に頭の中から吹き飛んだのは仕方のないことだと思う。
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