第12話

免れたは良いが、衝突した男子生徒によって、抱き締められている。

それ故の奇声だ。


「は、はは、離して…っ。」

思わず声が震えた。


「リーナ、見っけ、」


全力で無視しているこの人の中低音は穏やかだ。


…リーナ?



「いいにおい、ふわふわ甘い、いいにおい、こいつはまるで、おはぎさん…やで、」


お、おはぎさん?


「関西弁で誤魔化すなんて、直ちゃんは賢いね。ブラボー!」



私を抱き締める人の連れらしい人があっけらかんと

"直ちゃん"を褒めた。


直ちゃんって言った…?!



「ごーしちご、しーちしち、」

「発音もリニューアル!ハラショー!」




私を抱き締めたのは、あの"直ちゃん"?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る