第11話

◆玲奈side.


「玲奈ー、帰ろう?」

私を呼んだのは親友、丹下 杏華(タンゲ キョウカ)。


「待ってね、ママにさ、メール…。」


「歩きながらでも打てるじゃん。」

くすくす笑う杏華は足並みを揃えてくれる。


「ごはんはえっと、カレー希望…と。」

「あ、ちょっと玲奈!!」


へ?と顔を携帯から上げた途端に

ドスッと私は正面衝突した。


その勢いは大したものではなかったが

いかんせん視界に入るのは男子生徒。


「ぎょわぁ!」

私は乙女とは断じて言い難い奇声を発し、のけ反った。


…のだが、バランスを崩しかけ、後ろに引っくり返りそうになる。


ところがガシッと捕まれた二の腕により、私は後頭部と木床との急接近を免れた。



「はぎゃああぁぁぁ!!」


廊下に居た他の女子の黄色い悲鳴を掻き消す私の奇声が響き渡った。

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