第5話

「頑張っちゃって、ねむったい、」

当の本人は我関せず。


「あ、頑張っちゃったって言えた。」

俺は感心してやる。



「……リーナ、、」


直は初恋の少女の名を呟いて机に伏せった。


保護者役の俺はつい苦笑する。

なんでかって?そりゃ直が可愛いからさ。



だけど直


たまにお前が分からない。


所詮俺達は15年しか生きてない。

大人ぶって社会情勢に聞き耳たてたって、理解力なんて乏しいもんで

俺達は俺達の目の前で精一杯だ。


なぁ、直。

目の前のお前すら分からないってこの歯がゆさ、お前には分かるまい。



「…りーな、」

目の前の事で精一杯な俺は直の小さな小さな呟きを聞き取ることは出来なかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る