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恭子さんと接点を持つ点に関しては情報を聞き出したいって明確な理由があるけど、二菜さんと連絡を取ることについて何も言わないのは謎。



他のハートのメンバーとは関係を切るように再三言われたのに、二菜さんとは普通に連絡を取り続けてる。


単に仲が良さそうだから許してるってわけでもないだろうし。


今日の勝利さんと二菜さんのやり取りを見た感じだと、深い意図があってのことだとしか思えない。



「あの女、チエミのことが好きそうだしな。目眩ましに置いておくにはちょうどいいだろ」


「目眩まし?」


「まぁ、壁みたいなもん。お前たちの正体がバレない為の」


「なるほど。いきなり姿を消しても怪しまれないようにですか」


「後はまぁ、見張りだ。お前らが連れていかれたときに駒として動いてもらう」




スーパー俺様な発言をしながら先輩は包丁に手を伸ばした私に苦々しく呟いた。



いくら気をつけてたって隙は生まれるものだし、そうなった時に守れるような人材が欲しい。



幹部たちと仲が良い二菜さんは各チームの動きをいち早く把握できるし、万が一の時にはきっと足止めもしてくれる。



何かあってからじゃ遅いから先に私たちの逃げ道を確保しておきたいらしい。


そう思うくらい向こうはかなりやる気。


だからこそ二菜さんを仲間に入れておきたいようだ。



――♡――♡――♡――


企みは成功して二菜さんと勝利さんの交渉は成立したし、私たちの誰かが拉致されるようなことがあれば居場所を教えてくれると言ってた。



その代わり時々コスプレに付き合うって約束をさせられてしまったけど。


そこはコチラとしても本望だ。


新しいコスプレ仲間が出来てワクワクしてる。



「そんな考えに至るってことは拉致される可能性が高いんですね」


「お前より猫目がな」


「ノンちゃん?」


「猫目が安藤との婚約を本気で嫌がってるから、あいつの親が折れて別の人間に組を継がそうかって話が出てきてんだよ」


「えっ?親父さんの組を?」


「猫目の世話係だっけ?が候補に上がってるんだと」


「はぁ、あの人が…?」


「だから余計、安藤はやる気になってるし、そうなってる以上は俺らへの襲撃も激しくなる」


「確かにそうですけど」


「だったら拉致しやすい猫目を餌にするくらいのことはするだろ」



サラリとノンちゃんのお家事情を話され、思わず玉ねぎを切りながら先輩を二度見する。


危ないだろ、ってそれどころじゃない。


そんな話、ノンちゃんから聞いてないし。




「あの、勝利さんがノンちゃんと付き合うとか言ってたんですけど。もしかして本気だったりします?」


「まぁ、俺にも報告があったから本気だろうな。真剣かは分からねぇけど」


「えー…」


「勝利はな…。どっちかつーと喧嘩は買うより売る方だから。とことん安藤を煽るつもりだろ」



まったく手掛かる……なんて呑気に言ってるが、こちらは目が点だ。


自分の知らないところで着々と話が進んでいってるし。



思わず包丁を置いてノンちゃんから報告メールが来ていないか確認した。


まだ届いてなかったけど。



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