第67話

苦しさは一方的に募っていく。




“祐希は健を好きになった”




それが事実なのかな?




もう全部手遅れなのかな……。




いや、やっぱり簡単には諦められない。




今のだってお互い同意でキスしてたのかどうかもわからない。




聞く前に決めつけちゃだめだ。




目の前の事柄だけが事実とは限らない。




でも、もし祐希が健を好きになったんだとしたら?




俺のことなんて嫌いになっていたとしたら……。




いや、いっそのこと嫌いと罵ってくれればいい。




そうでもしてくれないと……諦めることなんて到底無理だ。




2人が両想いだとしても、きっと俺は祐希を浚ってしまう。




独占欲なんて消えてなくなればいいのに、思えば思うほど増えていく一方で。




誰よりも何よりも大切にしたいのに、気持ちは溢れて止まらない。




祐希がこっちに走ってくるのが見えて、俺は咄嗟に階段を降りて隠れた。




脳裏に過るのは佐々木さんが言ってた誘導尋問。




もう半分は賭けだった──。

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